2008年6月23日月曜日

掃除機物語6

掃除機物語6
前回は、またベッドの下で彼が停まってしまったところまでであった。
私がベッドの側に屈み込んで見てみると、彼は床とベッドとの間に背中を挟み込まれて動けないでいるのであった。
通常彼は物に当たると、別の方向にその向きを変えるようにしているのであるが、今回彼は円く膨らんだ背中を大分突っ込んでしまってから後ろに下がろうとしたが、背中がベッドの横板に捕まってしまったようである。
そこで私はまた考えた。
この横板に別の板を打ち付けて、彼がその板の下にモグり込まないようにしよう。
その結論に達したので今日の治療室の掃除はこれで終わることにした。
さぁ、今度は庭先にある物置に彼のために、板きれを捜しに行こう。
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2008年6月19日木曜日

掃除機物語5

前回は、治療室の掃除がやっと始まったところまでであった。前にも書いたように、機械的な動きを見ていることの大好きな私は、壁にもたれてジーッとして彼の動きを観察し続けた。彼は、二つのベッド・一つの机の下などを、その独特なリズムで動き回っている。縦横無尽とは、このことであろう。私は、彼がこの部屋だけで働いて、ほかの部屋に行かないために、2箇所あるドアを閉めた。彼は嫌がって廊下に行きたいのか、ドアになんどとなく当たったりしていたが、やがて諦めたのか、それとも次の仕事を急ぐ為かは分からないが、ドアだけではなくてその横の壁にも、当たったり少し退いたりを繰り返しながら、働き続けている。私はうまくいったと楽しくなり、これからは、他の部屋も次々に試して行こうなどと考えた。その時であった。「ゴトゴトゴト」と音を立てて彼は、机の下で停まってしまった。私は急いで机の所へ行ってその前に屈み込んだ。そしていわゆるシーソースイッチを見てみたがそれは「入り」の状態になっている。そこで本体上面にある三つの押しボタンの内の一つを押してみた。するとまた「ゴトゴトゴト」と再び彼は停まってしまった。


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